●寿命〜精一杯生きる〜

68.平成30年3月21日(水) 春季彼岸会の一席
 演題「寿命〜精一杯生きる〜」 布教師 住職(服部潤承)


 毎年厳しく感じます寒さが、今年は一際厳しく感じましたのは私だけでありましょうか。しかし、確実に春はやってきております。長い冬でしたが、佛日寺にも春がやってきております。皆さんのところではいかがでしょうか。
 この間まで、韓国のピョンチャン(平昌)で冬季オリンピックが開催されていました。何分ご本山におります関係でテレビが見られないので、インターネットで時折一場面を見ておりました。
 その中で、「氷上のチェス」と云われている「おはじき」を大きくしたような競技で女子の『カーリング』の様子が世界中に配信されていました。「そだねージャパン」はイギリスと対戦し、見事5対3で勝利、銅メダルを獲得しました。日本のカーリング史上初の快挙でした。
 競技以外の場面として、通称「モグモグタイム」と云われる「ハーフタイム」の様子を配信していました。この「ハーフタイム(前半と後半との間の休憩時間)」は、おやつを食べながら作戦を練る時間です。「高校生のゆるい部活に見えて、カワイイ」と辛口の批評をしている人もいましたが、水上の優雅な白鳥のように、水の中では足が休みなく動いているのと同じではないかと思いました。
 上からのカメラ撮りで、イギリスの選手達は、立ったまま腕組みをし、ポケットに手を入れているコーチを囲みバナナ・オレンジ・ミックスナッツをモグモグと食べていました。一方、日本の選手達は、車座になり正座をして、イチゴ・リンゴ・ドライフルーツをモグモグと食べながら、談笑していました。そこには外国人コーチまでが正座をして参加していました。日本のホッとする美しい姿を垣間見たのであります。
 禅語に『喫茶去<きっさこ>』と言うのがあります。この禅語はホッとさせる意「どうぞお茶でも召し上がれ」思慮分別を離れた無心の境地を「モグモグタイム」で言い表しているように思います。
 さて、本題に入ります。

  碧巌録第三則
   「挙<こ>す。馬祖師不安<ぼだいしふあん>。
   院主問う、『和尚、近日 尊候 如何<きんじつそんこういかん>』。
   大師云く『日面仏・月面仏<にちめんぶつ・がちめんぶつ>』」

  口語訳
   「禅宗の第八祖馬祖道一禅師(709〜788)が病気になった。
   院主が問いかける。『和尚様、ご機嫌如何でしょうか。』
   馬祖道一禅師が答えた。『日面仏-長命、月面仏-短命』と。

 日面仏とは、太陽の顔のように赤々と光り輝き続いている長命な仏さまです。月面仏とは、月の顔のように静かに満ち欠けを続けながら冴えわたる一日一夜限りの短命な仏さまのことで、三千佛名経<さんぜんぶつみょうきょう>に出ております。
 太陽の寿命は100億歳と云われています。現在46億歳で非常に長命です。月の寿命は太陽の光を受けて輝いていますが、既に終わっています。地球の寿命は後17億5000万年で、いずれは生命体が絶滅し、太陽の熱で海水は蒸発し月のようになってしまいます。長命と短命はなんと対照的なものでありましょうか。しかし、同じなのであります。
 『ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学--本川達雄--』(中央公論新書)に次のようにあります。“心臓が一回ドキンと打つ時間を心周期と云います。人は1秒に1回ドキ、ハツカネズミは0,1秒に1回ドキ、ウマは2秒に1回ドキ、ゾウは3秒に1回ドキンとします。息は1回スーッと吸ってハーッと吐く間に、心臓は4回ドキ・ドキ・ドキ・ドキと打ちます。これは人も小さなハツカネズミも大きなウマもゾウもみな同じです。すべての動物は一生の間に心臓が15億回打つことになります。すべての動物は一生の間に息をスーッハーッと4億回繰り返します。”とあります
 心周期はからだの大小により早い遅いが有りますが、心臓の動きは同じ回数の働きをしているのであります。人生の途中で何らかの障害や事故に遭遇しない限り、すべての人は同じ寿命をもち、そして全うしているのであります。これが私たちの一生であります。
 そこで、一番大切なのは長短が問題ではありません。如何に今を精一杯生きるかが問題なのです。一瞬を疎<おろそ>かにせず、今をしっかり積み上げるところにあります。それが例え短く終わったとしても、一瞬を生きた価値ある素晴らしい人生と言えるのであります。それを馬祖道一禅師は「長い命・日面仏も短い命・月面仏も同じ」であると言っているように思います。
 話は変わりますが、この数年間、永代供養の報告させて頂いておりました件でございます。愈々、佛日寺什物の『大涅槃図』の大修善をいたすことになりました。修繕費用の目標額に近づいてまいりましたので、消費税が10%になる前に修繕に踏み切りました。完成は明年の2月の予定であります。その時には皆さん一堂に会しましてご披露申し上げますので、是非ともご参拝下さいませ。なお、現在修繕費用のご志納も受け付けております。末代に残る奉加帳にご記名し篤志を称えたいと存じます。

⇒  [ 大涅槃図修繕 特設ページ ]


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