●けだものごっこ

38.平成22年8月22日(日) 地蔵盆会の一席
 演題「けだものごっこ」 布教師 住職(服部潤承)

 
 お早うございます。佛日寺に水子地蔵尊が造立されて、28回目の地蔵尊を迎えることになります。
 今年は格別暑くて、35度以上が毎日続いております。 この間は、堺市で38度を越えたとか、体温よりも熱いと、やはり、しんどいものであります。 皆さんはいかがでしょうか、熱中症になっていらっしゃいませんか。 毎年、テントを張っているのと、比較的早い時間に開催している関係で、特段病人も出ないで無事、地蔵盆を終了しております。 気分の悪い方・しんどい方は、すぐに隣の佛日寺会館に移動して、大事を取ってください。
 この暑さも、あとしばらく、いずれは涼しくなってまいります。
 あとの予定もありますので、手短にお話しをしたいと思います。
 今は亡き鶴田浩二さんが歌っていました『傷だらけの人生』と言うのがありました。作詞が藤田まさとさん、作曲が吉田正さんで、台詞が入っている歌です。
 「古い奴だとお思い出しょうが」で始まります。
 「何から何まで 真っ暗闇で 筋の通らぬことばかり 右を向いても 左を見ても 馬鹿と阿呆の絡み合い」
 そして、台詞。
 「好いた惚れたとけだものごっこが罷り通る世の中でございます。」とあります。
 この「けだものごっこ」の最たるものが、最近、新聞・テレビで報道していましたニュースです。 そこで、朝日新聞の8月11日の記事を紹介いたします。
 タイトルが、良いママ代表だった。2児殺害容疑母親を再逮捕。友人に見せた子煩悩でした。
 下村早苗容疑者23歳は、昨年5月の離婚後、飲食店に勤務し、深夜まで近くの託児所に長女桜子ちゃん3歳と長男楓ちゃん1歳を預けていました。
下村容疑者は休日にレンタカーを借りて子どもを動物園に連れていったり、同僚の女性が2人目の子どもの出産を相談すると、「私も2人育てているし大丈夫」と励ましたりしていました。 「いらついたりすることはなく、子どもは何と言っても可愛い。」と話していたそうです。 仕事と子育てを両立させる様子に「良いママ代表」と賞賛されていました。
 ところが、今年1月、大阪市中央区の風俗店に転職し、従業員用のマンションの一室に入居しました。 しかし、託児所がなく子どもを部屋に残して出勤していました。 市内に住む祖父は、何年も連絡をとっていないし、どこに住んでいるかも知らなかったそうです。 自分の孫子のことが気にならなったのでしょうか。不思議なことです。
 部屋の水道の使用量は、3月以降次第に減り5・6月にはほとんど使われていません。 子ども達は、ご飯はもちろん、水さえ飲んでいなかったのでしょう。 また、容疑者の布団の上にもコンビニ弁当の容疑などが散乱し、数か月は寝た形跡がなく、帰宅してもすぐに居なくなる状況でした。 まさしくネグレクト(育児放棄−衣食住や清潔さについて、健康状態を損なう放置状態を言います。)をしたのでしょう。
 このころ、容疑者は複数の男性と交際していました。5月ごろから交際していた男性には、「子どもがいる」とは言えなかったようです。 本人にとって、不利になることはもちろん言えないでしょう。 交際を優先した結果なのであります。
 桜子ちゃんと楓ちゃんの父方の祖母は、8月10日の夜、再逮捕の知らせを聞いて、「胸が痛いです。」と言葉少なに話しました。 けなげな2人の孫子を失った悲しい気持ちは想像を絶するものがあります。
 祖父母によりますと、桜子ちゃんは歌や踊りが好きな明るい子どもで、楓ちゃんが寝付くまで肩をとんとんたたいてあげたり、こぼしたミルクをふいてあげたりして面倒見が良かったそうです。
 2人の遺体が見つかった様子が語られていました。
 「2人は寄り添うように亡くなっていました。 最後に取り残された時、桜子ちゃんは、弟の楓ちゃんを守るように横たわっていました。それは、幼いながらもお母さんがわりをしていたのでしょう。」
 周辺の大人達は、何をしていたのでしょうか。本当に気付かなったのでしょうか。
 8月19日(木)夜、大阪市北区の市立総合生涯学習センターで、虐待家庭への市民からの援助の仕方を考えるシンポジウムが開催されました。 その中で、
 「虐待通報はすべての国民の義務。児童相談所だけでなく、市町村にも通報を。」
 「虐待対応ではスピードと想像力が求められる。」
 「子育てが生活から切り離され、作業や苦行になっている風潮にも問題がある。」
と強調されました。
 いずれに致しましても、私達の心次第・心の持ち方次第です。 お地蔵様のような、いつもにこやかで、慈悲深い優しい心で、接し処するところに帰するのであります。



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